ヤマドリ(山鳥、Syrmaticus soemmerringii)は、鳥綱キジ目キジ科ヤマドリ属に分類される鳥類。日本の固有種。名前は有名だが、野外で出会うのは少し困難な鳥でもある。
形態
全長はオスで約125センチメートル、翼長20.5-23.5センチメートル。メスは約55センチメートル、翼長19.2-22センチメートル。体重はオスでオス0.9-1.7キログラム、メスで0.7-1キログラム。尾はオスのほうがかなり長く、尾長はオスが41.5-95.2cm、メスが16.4-20.5cm。尾羽の数は18-20枚。オスの羽色は極彩色のキジと異なり、金属光沢のある赤褐色を呈す。およそ頭部の色が濃く胴体から脚にかけて薄くなる傾向があるが、その程度は亜種により様々である。よく目立つ鱗状の斑がある。目立つ冠羽はないが、興奮すると頭頂の羽毛が逆立ち冠状に見えることもある。顔面にキジ同様赤い皮膚の裸出部がある。尾は相対的にキジよりも長く、黒、白、褐色の鮮やかな模様がある。脚には蹴爪を持つ。メスの羽色は褐色でキジのメスに似るが、キジのメスより相対的に尾が短い。
生態
和名の「ヤマドリ」は山地に生息することに由来する。主に標高1,500メートル以下の山地にある森林や藪地に生息し、渓流の周辺にあるスギやヒノキからなる針葉樹林や下生えがシダ植物で繁茂した環境を好む。冬季には群れを形成する。
食性は植物食傾向の強い雑食で、植物の葉、花、果実、種子、昆虫、クモ、甲殻類、陸棲の巻貝、ミミズなどを食べる。
オスは鳴くことはまれだが、繁殖期になるとオスは翼を激しくはばたかせ、オートバイのエンジン音に似た非常に大きな音を出す(ドラミング、ほろ打ち)ことで縄張り宣言をし、同時にメスの気を惹く。また、ドラミング(ほろ打ち)の多くは近づくものに対する威嚇であるともされる。木の根元などに窪みを掘り木の葉や枯れ草、羽毛を敷いた直径20センチメートル、深さ9センチメートルに達する巣に、4月から6月にかけて6-12個の卵を産む。卵は長径4.8センチメートル (4.4-5.15cm) 、短径3.5センチメートル (3.3-3.65cm) で、殻は淡黄褐色。メスのみが抱卵し、抱卵期間は24-25日。
婚姻形態は一夫多妻であると推定されていたが、実際は一夫一妻であることが三重県津市の獣医師によって突き止められた。
分布と亜種
日本の固有種であり、本州、四国、九州に生息する。生息する地域によって羽の色が若干異なり、後述の5亜種に分けられている。
羽色は温度や湿度によって決定し(寒冷地の個体は羽色が薄く暖地の個体は羽色が濃くなる)、同地域でも南北で変異が生じるとする報告例もある。一方で尾羽の形態や腰の白色斑は遺伝的要因が影響していると考えられている。
人間との関係
種小名 soemmerringii は、ドイツの解剖学者、ゼンメリング (Sommerring) への献名である。
ヤマドリは雌雄が峰を隔てて寝るという伝承があり、古典文学では「ひとり寝」の例えとして用いられた。またオスのヤマドリは尾羽が長い事から、「山鳥の尾」は古くは長いものを表す語として用いられており、百人一首には柿本人麻呂の作として「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」が取られている。この歌では「山鳥の尾のしだり尾の」までが「ながながし」を導く序詞である。
ヤマドリに関する俗信としては、年老いて尾が十三節になったヤマドリは人を騙したり、また夜に人魂のように光るなどの言い伝えがあり、長野県に伝わる「八面大王」という鬼を坂上田村麻呂が退治する物語では、「三十三節あるヤマドリの尾羽で矧いだ矢で無ければ鬼を退治出来ない」という描写がある。
キジと共に狩猟対象とされている。日本では鳥獣保護法における狩猟鳥獣であるが、環境省令により2017年(平成29年)9月14日までメスヤマドリの捕獲が禁止されている。
ヤマドリはキジ目キジ科の鳥で、日本国内には5つの亜種が存在するようで、キタヤマドリは岡山・兵庫あたりから東の本州、ウスアカヤマドリは房総、伊豆、紀伊半島の黒潮沿いの地域に、四国、中国にはシコクヤマドリ、九州にはアカヤマドリ
2013-03-04 23:27:00
他にシコクヤマドリ(本州南西部、四国)、ウスアカヤマドリ(房総・伊豆・紀伊の諸半島、山口、四国南西部) 日本固有種であり希少種にもなりつつある当種ですが、国鳥のキジと共に未だに狩猟鳥です。青葉山では、街のざわめきが聞える谷筋等の藪地で一年
2010-02-24 21:42:00